アインシュタインとタゴールの会話

自然の本質を人間はとらえることができるのか。アインシュタインは、彼のベルリン・カプートの別荘を訪れたインドの大詩人タゴールに、その自然観を語っ た。1930年、アインシュタインが、量子力学者たちとの激しい論争を繰り広げていたころのことである。それは、詩人と科学者の、東洋と西洋の深いふちを 隔てた対決であった。タゴール:この世界は人間の世界です。世界についての科学理論も所詮は科学者の見方にすぎません。
アインシュタイン:しかし、真理は人間とは無関係に存在するものではないでしょうか? たとえば、私が見ていなくても、月は確かにあるのです。
タゴール:それはその通りです。しかし、月は、あなたの意識になくても、他の人間の意識にはあるのです。人間の意識の中にしか月が存在しないことは同じです。
アインシュタイン:私は人間を越えた客観性が存在すると信じます。ピタゴラスの定理は、人間の存在とは関係なく存在する真実です。
タゴール:しかし、科学は月も無数の原子がえがく現象であることを証明したではありませんか。あの天体に光と闇の神秘を見るのか、それとも、無数の原子を見るのか。もし、人間の意識が、月だと感じなくなれば、それは月ではなくなるのです。
アインシュタインは『物理学はいかに創られたか』を、以下のように締めくくった。
「長い時間をかけて、読み解こうとした自然の謎物語。それは、完結することはないのです。重要な進歩は、いつも新しい問題を引き起こします。そして、古い見方と新しい見方との劇的な闘争の中に、私たちは、理解に対する永遠の憧れと世界の調和への信念を固めるのです。」
ラビンドラナート・タゴール インドの詩人 、思想家である。詩聖として非常な尊敬を集めている。1913年には『ギーターンジャリ』によってノーベル文学賞を受賞する。これはアジア人に与えられた 初のノーベル賞であった。 インド国歌及びバングラデシュ国歌の作詞・作曲者で、タゴール国際大学の設立者でもある。 ウィキペディアより