魂の旅 その9 数秘のレッスン 

Lambeth_London_bus_12

ロンドンで生活していた当時19才の私は、
アルフレードによって
壊れかけていた自分の意識をちゃんと戻してもらったばかりか、
とてつもなく不思議な、
今風にいえばシャーマン世界への扉を開くことになった。思考と世界を静止させる方法を彼から学んだのである。
その世界は今でもまれに、
瞑想をすると瞬間的に訪れることはあるが、
もはやほとんど経験することはない。ホーランドパークでパワースポットを探したあの時から
私は彼が見せてくれた世界に夢中になり、
学校が終わってから何度も彼のところに足を運んだ。
シェパードブッシュでバスを降りてから、
同じような建物が並ぶ近辺を通り過ぎて
彼のアパートに向かおうとしたが、
不思議と見つからないことを何度も経験した。まるで迷路に迷い込んだかのように探せなかった。
実際にアルフレードという人物が
存在するのかさえ疑うこともあった。

すべては夢の中の出来事だったのか?
私はあきらめて家に戻っていった。
そうして一か月も過ぎることすらあった。

どうしても会いたくてまた彼の家に足を運んだ。
今日は絶対に会えるという予感があったときだけ
彼の住処を見つけることができた。
一階の入り口でベルを鳴らすと、
彼は降りてきてくれた。

「今日は私のアトリエに行くかい?」

その日は部屋の四隅から波打つ音が聞こえる
彼のアパートに立ち寄らずに
一時間ほどまた例の如く互いに一言も語らず歩いた。
アルフレードのアトリエは、
たしかあるビルの地下にあった。
中は広くて5、6人の若者たちがいた。
部屋の中央にはエッチング用の機械が置いてあった。

皆はそれぞれ作品をつくっていた。
アルフレードは私にひとり一人を紹介してくれた。
アルゼンチン、コロンビア、メキシコ人など、
全員中南米の若者たちだった。
彼らは皆アルフレードといっしょに
パリからロンドンに移り住んだという。

周囲には個性あふれる模様の銅板が、
壁を埋め尽くしていた。
それらすべての作品は、
彼ら全員の生活を支えている売り物であることに
私は気づいた。
たしかポルトベロロードのある店にも
エッチングされた銅板が額縁されて
置かれていたのを私は思い出した。
同じ方法で削られて裏に皮がついた腕輪も
あちこちのお店で見たのを私は思い出した。

『なるほど、アルフレードの仕事はこれなのか・・・』
不思議なアルフレードではあるが、
少し現実味が帯びてきた。

しかし、彼の弟子たちは皆私のことを
気に入っていないとすぐに私は気づいた。
皆彼の仕事仲間というだけではなく、
それぞれが彼の魔法の授業の生徒であることも
すぐにわかった。
要するに私が最近、
先生を独り占めにしていることが、
気に食わなかったのである。

皆のことを察したのかアルフレードは、

「彼女なかなか素質があるんだ」

と、弁解するような口調でいった。
彼の言葉を誰もが無視しているように思えた。

私たちはアトリエを後にして外に出た。

アルフレードと私の沈黙の了解は、
外を歩くときは言葉を必要以外交わさないことと、
意識は人やモノに集中させないこと、
そして、世界が静止する状態へと
なるだけ早く辿り着くことだった。
そのためにパワースポットをまず見つけて、
その中で世界が変わるように導くことだった。

そのあとアルフレードは、
たいてい学びの課題を与えてくれた。
その日はナンバーだった。
今風にいえば数秘のレッスンである。

12番のバスがむこうからやってきた。
「あれだ!」と彼はいった。
バスが目の前の停留所に止まると、
私たちはそのバスにとび乗った。

そのあとシンクロの運びと共に
私たちはひたすら12というナンバーを追い続けた。

『もう夜が明けそうになっているのに、
いつまでこのゲームは続くのだろう・・・』
私は疲れながらそろそろいやになってきていた。

「さあ、今日はこれくらいにしようか。
12のことが見えてきたかい?」

私は、「いや、なにも」
という顔で彼を見つめた。

「眠りにつくと12からきっとメッセージが届くよ」

あの日のレッスンはほとんど思い出せないが、
あのあとアルフレードと別れてから、
ベッドに入った私は不思議な夢を見た。
それだけ今でも覚えている。

アルフレードとは、
あれからまたなかなか会えない状態が続いた。
そして次に出会えた時は、
また異なるナンバーをシンクロで追う。
これが数か月も続いたのちに、
今度は動物を知るレッスンへと変わっていった。

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