魂の旅 その7 魔術師アルフレードから学ぶ

魔法

アルフレードとの出会いによって、
私は臨死体験に伴う一時的な記憶喪失から回復できた。
そればかりかこの人生の始まり時点まで記憶が遡った。
自分の手のひらを見つめていると、
五歳のときの自分の手、
生まれたばかりの自分の手、
すべてその時見つめていた手のひらと一致した。
深い層の記憶を甦らせることができたのだった。
そのときの経験を今となって表現するのは無理だ。

自分の手のひらを見つめていると同時に、
記憶喪失になるまでの人生で起きたことが、
パッパッとまるでカメラのシャッターが下りるように甦り、
そのとき見つめていた自分の手のひらと一致するのを
強烈な感覚で認識できた。
あれから43年近く経った今となっては、
それ以上あまり描写できない。

あのときたしか、さらに手のひらを見つめていると、
自分の過去世と思われるいくつかの記憶までが、
パッパッと様々なシーンとして現れたのである。
それは過去、現在、未来といった時間の幻想から
完全に脱出できた束の間の体験だった。

記憶喪失に伴うどん底にいた私は、
単なる直観の導きだけで、
まったく見知らぬ男性についていった。
彼の小さな部屋に辿りつき、
お茶を出してもらってその場で座ってから
気づかないうちに長い時間が経過していた。

夜中の十二時をとっくに過ぎていた。
アルフレードが送ってくれるというので、
私たちはゆっくりと歩き始めた。
ハイドパークを抜けてケンシントンの私のアパートまで、
二時間ほど無言で歩き続けた。

私のアパートの前までやって来ると、
「この世界は今までの世界とちがって、
外と内なる世界が完璧なバランスで保たれているんだ。
今までずっとそこにあったのだけど、
君は今日その入口を見つけた。
君が見つけたんだよ、夕日の力を借りてね」
彼はそう私に告げてから帰っていった。

アルフレードから教わったことは、
これがほんの入り口にすぎなかった。
ロンドンで私は魔術師アルフレードの元で
さまざまな魔法をその時から学ぶことになった。

あのときアルフレードと別れてから、
私は自分のアパートで床に就いたが、
眼は閉じることはなかった。
思考が完全に止まっていた。
目を開けたまま体だけを休める。
これが一週間ほど続いた。
夢見ることも思考もない。
いわゆる‘サマーディ状態’を、
何日間も持続させることができた。

おそらく人生でいちばん澄み切った経験だった。
不思議なパワーに満ちている自分が感じられた。
というよりも自分はいなかった。
あるいは自分はすべてだった。

その一週間ほどの間に私は、
自分の腹にまるい地球を抱えているように
感じられるときがあった。
私は地球の母なのだ。
地球の悲しみもすべてを抱擁していた。
すべては自分の責任という深い感覚が何度か押し寄せてきた。

そうしているうちにまるで落下するように、
元の意識状態がじわじわと襲ってきた。
‘サマーディ状態’と普通の意識が交互に入れ替わる。
‘サマーディ状態’を求めるとどんどんそれは消えていった。
まるで自分が落下した天使のように感じられた。

そんな状態が一か月ほど続いたある時突然にして、
「ジョン・レノンが殺される」
という確信的な言葉が頭をよぎった。
これは大変だ。
どうにかして彼に知らせなければならない。
そんな使命感から私は、
当時ロンドンにあったビートルズのレコード会社だった
アップルに手紙を書いて送ったほどだった。
そのときから実際に彼が殺されたのは9年後となった。

今自らの人生を振り返ると、
あの時の強烈なサマーディ体験に戻るために
あれこれとずっと
スピリチュアルな世界を探求し続けてきたようだ。

あの臨死体験、
ロンドンの自由気ままな生活、
そして言うまでもなく、
アルフレードとの出会い、
この三つの組み合わせによって、
19歳だった私は並外れの数々の経験をすることになった。

私はアルフレードと出会った一か月ほど後にまた
彼のアパートを訪ねた。
またじっと座って瞑想するようにと指示された。
無言で座っていると、
またあの時のように、
部屋の四隅から波が打ち寄せるような音が聞こえ始めた。

「しゃべってはならない」
無言で彼の後について私は外に出た。
「いいかい、その世界を保ちながら、
人を観察しよう。
主観を外して人を観察するのだ。
ホーランドパークに行こう。
その前に目立たないように、
まず透明人間になる術を教えよう。」

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