魂の旅 その8 パワースポットを探せ

powerspot

~飛べるかどうか疑った瞬間にその能力は永久に消える~
ジェームス・マシュー・バリー(ピーターパンの作家)

アルフレードは滅多に語りかけてくれなかった。
しかし語ったときは、
すばらしい教えに満ちていた。

「禅は無に到達する道だが、
魔法はそこからスタートする」

彼に教わる魔法の授業はほとんど野外で行なわれた。
バスにも滅多に乗ることもなく、
ひたすらロンドンの街を二人で歩いた。

私たちはやっとホーランドパークに入った。
思考が止まった世界は、
動いていても周りの世界が静止したように感じられる。
周囲の音もどれひとつ気を引くほど大きくは聞こえない。
すべてが調和と静けさを保っている。
それを乱さないように
彼と一緒にゆっくりと私は公園内を歩いていた。

「まずは、パワースポットを探そう」
と、彼は突然沈黙を切った。
彼が一つ見つけた。
公園の中のある場所を彼は指さし、
私たちはそこに向かった。

彼が示した場所に着くと、
そこは公園の他の場所とまったく変わらなく、
緑の芝生が生えていた。
これといって目立って特別な場所ではなかった。

じっとその場所を見つめるように
アルフレードは私に指示した。
すると
直径2メートルくらいの円形範囲が、
かすかに浮いていて、
さざ波が立っているのが瞬間的に見えた。
まるで3Dトリックの絵の中に、
あるイメージが浮いて見えるような感じだった。

彼は私にその中に入るように言った。
その目に見えない円形に入ったり、
出たり繰り返してみるようにと。

たしかにその円の中に入ると、
思考が止まった状態が強化され、
崩れそうになりかけていた別の世界に
ちゃんといられるパワーを得ることができた。

「パワースポットだよ、
他にもあるから今度は自分で探してごらん」

言われるとおりにして、
何ヶ所か同じような不思議な円のスポットを、
公園内に私は見つけることができた。

パワースポットを見つけるコツがわかると、
次はその中で透明人間になる方法を
アルフレードは教えてくれた。

どのようにそれができるようになったのか?
その方法を後に思い出すことはできなかった。
彼に導かれて入っていった別の世界のことは、
まるで夢に近いほどこの次元では記憶として
はっきりと残すのは不可能だった。

ただ透明人間になることができた自分は、
公園内を裸で歩いても誰も気づくことはないという
自信に満ちていた。
実際に円の中から出て歩くと、
誰も私たちを見たり、振り向いたりする
通りすがりの人たちはいなかった。

「けして誰とも目を合わせてはいけないよ」
私はアルフレードの言葉をちゃんと守りながら、
まるで自分が裸の王様になったような気分だった。

私たちはベンチに腰掛けた。
小道を隔てた向かい側に老人の男性が,
座りながら新聞を読んでいた。

「ほおら見てごらん。情報が好きなんだ・・・彼は」
アルフレードはまるで珍しい動物か昆虫を
観察しているかように、

その老人について私に一言述べたあと、
しばらくその老人を私たちは観察していた。
それからまた別の場所に移動して
他の人間やクジャクを観察した。
別のパワースポット探しもした。

あのような特別のパワーを
受け取ることができる、
直径二メートルくらいのパワースポットは、
日本でも私はなんどか見つけたことがある。
何の気なしに訪れた神社の境内に、
そんな場所が隠れていることがある。
それにしてもロンドンの街には、
そんなパワースポットがところかまわず
散らばっていた。

私がそれを見つける能力が薄れたのかもしれない。
アルフレードから教わる魔法の授業の基本は、
パワースポットを見つけて、
別世界に居続けるパワーを充電することだった。
そして、静かに座っていると
部屋の四隅から
まぎれもなく波打つ音が常に聞こえてきた
アルフレードの小さな屋根裏部屋も、
他とは違う特別のパワースポットだった。

「魂の旅」ここまでのお話はこちらでご覧いただけます。
http://sonia.aichi.jp/?p=252

 

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